2023年9月21日の米国時間に行われたマイクロソフトによる新製品発表会では、「Surface Laptop Studio 2」、「Surface Laptop Go 3」、「Surface Go 4」(法人向けのみ)が発表されました。
Surfaceの2-in-1モデルの「Surface Pro」シリーズではアップデートがなかったため、現行の「Surface Pro 9」が今後もしばらくの間はこのモデルの最新機種としてあり続けることになります。
この記事では、昨年12月に購入した「Surface Pro 9」を10か月ほど使用してきた中で感じたメリットやデメリットをできる限りの実体験を交えながらお伝えしていきます。
Surface Pro 9とは?
形状
Surface Pro9は2022年10月25日に発売された2-in-1ノートPCというカテゴリーに分類される、本体とキーボードを分離して使用することができるタイプのノートPCです。2-in-1とはPCでありながら、キーボードを分離したり、本体を反対側に折りたたんだりすることでタブレットのように使うこともできるPCのことです。
Surface Pro 9はキーボードを分離するタイプの2-in-1タイプ(「デタッチャブル」と呼ばれることもあります。)であり、分離した時の見た目はほぼタブレットと言えます。
Surface Pro 9には5G対応モデルという携帯電話回線を使用できるモデルもあります。この記事では5G対応モデルではない方のモデルを取り上げています。ですが、携帯電話回線に関わる点以外では共通して参考にして頂けると考えています。
なお、Surface Pro 9用のキーボードは本体に含まれておらず、別売りです。
サイズ及び重量に関する概要は下記のとおりです。
Surface Pro 9 | 5G 対応 Surface Pro 9 | |
長さ | 287mm | 287mm |
幅 | 209mm | 209mm |
高さ | 9.3mm | 9.3mm |
ディスプレイ | 13インチ | 13インチ |
重量 | 879g | 883g又は878g |
1. キーボード装着時の閉じた形
2. キーボード装着時の開いた形
一般的なノートPCに近い形です。
3. キーボード分離時
キーボードを分離した状態でキーボードを使うことはできません。この点は少し残念だと思いました。
4. キーボードなしで背面キックボードの角度を調整した時
やりたい作業によって角度は変わってきますが、写真ぐらい寝かすと専用タッチペンで字を書く動 作に適しています。
5. 完全に寝かせた場合
キーボードを取り外し、キックボードも開かない状態です。見た目は完全にタブレットです。
人によってはまっ平らなこちらの方が字を書きやすいと思われるかもしれません。ただし、背面に傷がつかないような工夫はした方がいいと思います。
入力方法
専用キーボード(別売り)による入力
最もオーソドックスなノートPC本体のキーボード入力と同じような入力です。ただ、通常のノートPCのキーボードと違い、Alcantara(アルカンターラ)という合成繊維ベースでつくられており、入力時に若干のたわみをかんじます。見た目はおしゃれだと思いますが入力時の感触は好みが分かれるかもしれません。
ただし、専用キーボードをBluetooth接続などで分離して使うことができないので、入力する姿勢はおのずと限定されます。
画面内キーボードによる入力
他社のタブレットと同様に画面内に表示させたキーボードによる入力です。
専用タッチペン(SlimPen2)による入力
別売りの専用タッチペン「SlimPen2」により画面内の記入スペースに文字を書くと、その書かれた文字が認識され変換されます。
その認識精度については、日本語入力、特に漢字についてはかなり強いです。少々乱筆で書いても意図したとおり変換してくれます。ひらがなについては紛らわしいと多少誤変換を起こすこともあります。(「り」と「い」など。)句読点についても多少は正確に書くことを意識した方が安全です。
その半面で、アルファベットについては日本語に比べて変換精度は落ちると感じました。英文や英単語が多く出てくる文章には不向きかもしれません。
他社製キーボードによる入力
他社製のキーボードを有線・無線で接続して入力する方法です。自宅でSurface Pro 9を外付けディスプレイに接続してデスクトップPCっぽく使う場合は、この方法が適しているでしょう。下記は通常ノートPCによる外付けディスプレイ及びキーボードの活用例ですが、Surface Pro 9も同様のことができます。Surfaceの場合はキックスタンドで自立できるのでより便利かもしれません。
強み
高品質な画質
以下は、Surface Pro 9の画質面でのスペックです。
Surface Pro 9 | Surface Pro 9 (SQ® 3/5G) | |
スクリーン | 13 インチ PixelSense™ Flow ディスプレイ | 13 インチ PixelSense™ Flow ディスプレイ |
解像度 | 2880 X 1920 (267 PPI) | 2880 X 1920 (267 PPI) |
リフレッシュレート | 最大 120Hz (動的リフレッシュレート対応) | 最大 120Hz |
フルHDを上回る画質であるため、通常のWebサイトはもちろん、電子書籍リーダーとして使用した際も文字がにじむことがなく没入感をもってコンテンツを楽しむことができます。
また、リフレッシュレート120Hzに設定した際には、Slimpen2を使用して文字を書くときの追従性が著しく向上します。60Hzで文字を書いた場合、多少の遅延が気になります。
背面の調整型キックスタンドで色々な使い方が可能
背面のキックスタンドにより、カバー等をつけずに自立させることができるため、自由な姿勢で動画視聴などを楽しむことができます。また角度を水平に近づけるとSlimpen2で字を書きやすくなります。
Windows Helloによる顔認証が秀逸
Windows Helloによる顔認証で、本体に一切触れることなくスリープの解除が可能です。反応速度も速いです。
Office Home & Business 2021 標準装備
仕事以外では、無料で利用できる表計算ソフトやWebメールで必要十分なことが多いため、パソコン購入の際はOfficeはオプション扱いになることが多くなりました。しかしSurface購入の際はOfficeは標準装備です。なんだかんだ言ってOffice、特にExcelには安心感があります。
スリム ペン2が秀逸
別売りにはなりますが、スリム ペン2を一緒に使うとイラストはもちろん、キーボードなしである程度の文章であれば十分に編集可能です。
弱み
入出力端子が少ない
下記はSurface Pro 9に備わっている外部端子です。Surface Connect ポートが電源専用の端子ですので、実質的にユーザーが好みで使用できるのは2つのUSB 4.0/Thunderbolt™ 4 搭載 USB-C®だけです。これで足らない場合はドッキングステーションなどのアクセサリ類を併せて使う必要があります。
外部端子 | Surface Pro 9 (Intel/Wifi) USB 4.0/Thunderbolt™ 4 搭載 USB-C® x 2 Surface Connect ポート x 1 Surface タイプカバーポート x 1 Surface Pro 9 (SQ® 3/5G) USB-C® 3.2 x 2 Surface Connect ポート x 1 Surface キーボード ポート nano SIM x 1 |
イヤホンジャックもありませんので、音を外部に聞こえないようにするにはワイヤレスイヤホンや関連アクセサリを使用する必要があります。
グラフィック性能は高くはない
Surface Pro 9に搭載されているグラフィック性能は下記のとおりです。
グラフィックス | Surface Pro 9: Intel® Iris® Xe グラフィックス 5G 対応 Surface Pro 9: Microsoft SQ® 3 Adreno™ 8CX Gen 3 |
Intel® Iris® Xe は第11世代インテルCoreプロセッサというCPUに内蔵されたグラフィックボードでCPU内部に組み込まれたグラフィックボードとしては性能が高いですが、ゲームを楽しむ場合にはそのゲームの最低環境や推奨環境を確認する必要があります。
World of Warshipsという戦艦を操作するオンラインゲームをプレイしたところ、下記の設定であればプレイ自体は特にトラブルなくプレイできました。ただ、プレイしている間ファンは爆音を鳴らしており、本体は他の使用用途ではありえないぐらい熱くなりました。少なくとも本体にダウンロードするタイプのゲームには向かないと感じました。
画像もSurfaceの高解像度の画像でそれなりにきれいに見えていますが、あらゆるグラフィック項目を低く設定しているので、通常のゲーミングPCではより高画質、高品質のグラフィックでプレイできるでしょう。
単なる動画再生であれば、何の問題もなく視聴できます。
まとめ
高いスペックを持ち、かつPC・タブレットの両方の形態で使用できるSurface Pro 9は価格こそ同クラスのPCよりも高めではありますが、いったん所有すると多彩な楽しみ方と高い利便性をユーザーに体験させてくれます。PC買い替えの時期を迎えている人には有力な選択肢になると考えます。
コメント